山の履歴書
山の中にプラスティックの棒(↑写真参照)や切株に巻かれた古い針金を見つける事があります。
これ人工の絞り丸太を切り出した跡なんです。
植林した木を育てていくには手入れが必要になります。しかも収穫までの時間が長い。
その間の資金をどうするかはとても大事な問題です。
そこで床柱などに使用される絞丸太です。植林後比較的短い時間での収穫が可能ですし、何より高付加価値の商品である。(木材価格が高い時代のお話ではありますが)
ということもありよく造られていたようです。
山林経営としはこれから長い育林のためには資金が必要ですから絞丸太や磨丸太で売り上げをつくることは当然の選択されるます。ただここでポイントとなるのが将来どういう山を造るのかという明確なビジョンを持っているかどうかだと思います。
絞丸太や磨丸太などは形状が非常に良い木のほうが高くうれます。ここで目先の売り上げだけを見て施業してしまえば将来の優良木がなくなってしまう。このバランスが大事なんですね。
そんな豆知識があればこそですが今残されてる痕跡や木々の状態を考えながら山林を眺めるとまた違った見え方がするかもしれませんね。
天然林と比べて単調な感じがする人工林もそんな風に見るのも面白いと思います。
その山林の履歴を推理するのも人工林を歩く楽しみ方ですね。
人工林を歩く
天然林に比べて杉や桧の人工林は変化に乏しいし、増えすぎた鹿の影響もあって植生も豊かではない。
そんな人工林ですが人がどう関わってきたのかを想像しながら山をみてみるといがいと面白かったりします。山歩きしてて自分なりに感じたことを徒然に書いてみます。
吉野地方は密植と言って苗と苗の間隔を狭くして面積当たりに植える本数を多くします。そうする事によって横に太るのを制御し、光を求めて上に伸びようとするので樹高が高くなります。また密植により光が当たらない下の枝は枯れていきます。杉は枯れた枝は自然落ちるので下の方は枝がありません。
仕立ての違いによって林相が変わるのでそんな違いを見ながらの山歩きもまた楽しいです。